院長挨拶

院長挨拶

私自身は、幅広いどんな年代の方でも診る精神科医として仕事をしてきたつもりですし、
今もまだそうありたいと願っているのですが、頼まれた仕事をこなし続けるうちに、
いつの間に大村共立病院は、長崎県で最も多くの子どもや若者が受診する精神科病院に
なりました。
今日、日本全国において、精神科病院は入院患者の高齢化が進行しているのですが、
当院は子どもからお年寄りまで、実に幅広い年代の患者さんが入院しています。

本来、精神科病院の役割は脳機能的な背景を持つ精神疾患の治療です。
個人的には、精神科の病院はそこに専念できるのが理想だと思います。

しかし、世の中には必ずしも脳機能的な背景を持つ精神疾患ではないのだけれど、
自分の居場所がなくて、生きる意味がよくわからなくなってしまったり、
苦しさのあまり、自分で編み出した危なっかしい行動をやめられなくなったりした人が
たくさんいます。
そしてそのような人を支援する場所はあまりありません。

だからこそ、私は個人的な理想はいったん棚上げして、
この病院を精神疾患の治療をするだけではなく、そのような人、
特に子どもや若者がいったん立ち止まって、自分自身のあり方を
見つめなおすための時間と機会を提供できる場にしたいと考えています。
そして病院スタッフは、専門的な知識を提供するだけではなく、
自分なりに人生を歩んでいる一人の人間として、彼らの試行錯誤につきあっていきたいと考えています。

さらに当院は福祉や教育現場との連携にも力を入れています。
隣接している児童心理治療施設「大村椿の森学園」とは、
心理的な問題を抱えている子どもの共同治療を行っています。
また近年は大村市内の6中学校の校区別に当院の5人のドクターで毎月訪問して、
教員の相談に応じる事業を大村市教育委員会等と協力して行っています。

今後は、まだ問題がこじれる前の就学前の子どもに対して、できることがないか模索中です。
子どもたちがわざわざ当院まで訪れなくても、社会の中で生き生きと過ごせるようにすること、
そして最終的には当院が脳機能的な精神疾患の治療に専念できる場にすること、
これが私の願いです。

今後ともよろしくお願いします。

令和5年8月1日
大村共立病院 院長 宮田雄吾

副理事長 宮田 雄吾

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